実験デザイン・利用手引き

d4PDFの実験デザイン

d4PDFは、水平解像度約60kmの気象研究所全球大気モデルMRI-AGCM3.2 (以下全球モデル, Mizuta et al. 2012)を用いた全球実験と、水平解像度約20kmで日本域をカバーする気象研究所領域気候モデルNHRCM (以下領域モデル, Sasaki et al. 2011, Murata et al. 2013) を用いた領域実験によって構成されます。

 

全球実験は、下記の4種類のアンサンブルに分けられます。
・ 過去実験 1951年~2011年8月 ×100メンバ
・ 非温暖化実験 1951年~2010年×100メンバ
・ 2℃上昇実験 2031年~2091年8月×54メンバ
・ 4℃上昇実験 2051年~2111年8月×90メンバ
過去実験では観測された海面水温(SST)と海氷, 温室効果ガス濃度変化、硫酸性エアロゾル濃度変化、オゾン濃度変化、火山性エアロゾル濃度変化を全球モデルに与えています。100メンバは、それぞれ異なる初期値から計算を始めており、さらに海氷と海面水温に小さな摂動を加えています。

非温暖化実験では、トレンド成分を除いたSSTと、そのSSTと整合するように調整した海氷を与えています。温室効果ガス濃度等の外部強制因子は、産業革命前の条件に固定しました。この非温暖化実験と過去実験を比較することで、過去の外部強制因子による気候変化トレンドを議論することができます。

4℃上昇実験は、非温暖化実験から全球平均温度が4℃上昇した世界をシミュレーションしています。CMIP5に貢献した全球大気海洋結合モデルの実験結果を基に6種類のSST将来変化の空間パターンを用意し、各パターンに15種類の摂動を加えた合計90種類の分布を与えることで、90アンサンブル実験を行いました。海氷は、そのSSTに整合するように調整しています。温室効果ガス濃度等の外部強制因子は、RCP8.5シナリオの2090年の値を与えました。4℃上昇実験に関しては、実験期間を通して温暖化の程度は時間変化しない設定となっており、例えば2051年と表記されていても2051年の予測ではなく、2090年と変わらない温暖化シグナルの大きさになっていることに注意が必要です。

2℃上昇実験のデータは2018年8月に追加公開されました。4℃上昇実験と同じ6つのCMIP5モデルが予測したSST将来変化の空間パターンを用意し、各パターンに9種類の摂動を加えて合計54メンバーのアンサンブル実験を行いました。温室効果ガス濃度等の外部強制因子は、RCP8.5シナリオの2040年の値を与えました。

領域モデル実験では、下記の60km解像度の全球実験から、20km解像度まで力学的ダウンスケーリングを行いました。
・ 過去実験 1950年9月~2011年8月×50メンバ
・ 2℃上昇実験 2030年9月~2091年8月×54メンバ
・ 4℃上昇実験 2050年9月~2111年8月×90メンバ
日本域のデータ解析を行う場合、領域実験のデータを使うことを推奨します。

d4PDF利用手引き

実験設計の詳細、入手方法、利用方法に関しては下記の利用手引きを参照してください。
(実験が追加された際などにアップデートされますので、解析をされる方は最新版を確認してください)

第1章 d4PDFの概要

第2章 全球モデル実験

第3章 領域モデル実験

第4章 データベースの利用方法 (2020年2月14日更新)

d4PDF記述論文

論文等で引用する際には、下記の2編を参照して下さい。

Details of the experimental design (Link to a published manuscript from BAMS)

Description of the +2K warming experiment (Link to an accepted manuscript from GRL)

d4PDFデータ入手場所

地球環境情報統融合プログラム「データ統合・解析システム DIAS」

データ公開ポリシー

公開ポリシー