はじめに
我が国の海岸線は3万キロを超え,非常に長いため,その全体像を把握することが難しい.地球温暖化に伴う海面上昇による砂浜の減少(汀線の後退)を推定するためには,全国の砂浜をデータベース化する必要がある.以下の2でデータの概略を説明するが,これらのデータについては,Public Domainで公開することが,砂浜の減少の多面的評価につながることと期待し,Webでの閲覧が可能な「全国砂浜データベース」を公開する.
全国砂浜データベースの概要
データの収集整理は,環境省によって公開されている海岸改変状況調査県別・支所別一覧をもとに,第5回(海辺調査・海岸線改変状況)もしくは第4回(海岸調査)のデータから砂浜海岸線のみを抽出し,KMLファイル形式で保存した.砂浜海岸線ファイルを参考に,海岸名・海岸線延長・砂浜の幅・海岸線両端部緯度経度を読み取った.ついで,国土交通省によって公開されている国土数値情報標高・傾斜度5次メッシュデータをもとに,最大標高と平均標高を求めた.海岸名,海岸線延長,砂浜の幅,海岸線両端部の緯度経度,最大標高および平均標高を追加したデータを作成した.
粒径データについては,熊本大学辻本先生が長年に渡り収集してきた汀線付近のサンプルデータをもとに平均粒径を求め,データベース化した.砂サンプルは,スキャナーで画像として読み込み,画像処理から粒径分布を求めている.
上記の2つのデータを組み合わせ,「砂浜データベース」とする.
全国砂浜データベース
- 全国砂浜データベースは国土技術政策総合研究所海岸室で公開しています.以下のWebを利用して閲覧ください.
- (研究者向け)全国砂浜データのダウンロード
- オリジナルのKML/Excelデータは以下からダウンロード出来ます.ファイルの末尾は,データの公開日にもとづくバージョンを示します.
データ提供の方法
砂浜DBは協力してくれるみなさんを随時募集しています.何時でもご連絡下さい.
観測マニュアル
- 観測マニュアル(整備中)
データフォーマット
その他情報
主な協力者
- データベース運営
- 国土技術政策総合研究所・海岸研究室
- 熊本大学・辻本剛三先生
- 大阪市立大学・中條壮大先生
- 調査協力
- 北海道大学・渡部靖憲先生
- 東北大学・有働恵子先生
- 名古屋工業大学・北野利一先生
- 金沢大学・二宮順一先生
- 鳥取大学・Kim Sooyoul先生
- 関西大学・安田宏誠先生
運営資金
- 2018年度 防災研究所拠点研究費(代表:森 信人)
引用と研究成果
本データベースを引用される場合は,国総研Webのアドレス(http://www.nilim.go.jp/lab/fcg/labo/01_05.html)とともに以下の文献を引用して下さい.利用した研究成果については,管理者に連絡していただけると助かります.
- Mori, N., S. Nakajo, S. Iwamura and Y. Shibutani (2018) Projection of Japanese coastal erosion due to climate change using a geographic database, Coastal Engineering Journal, Taylor & Francis, doi: 10.1080/21664250.2018.1488513
更新履歴
- 2018/6/25 国総研でWebの公開を開始
- 2023/5/8 データの大幅アップデート